【PSVRソフト本気レビュー】Stifled(スタイフルド)

Stifledのレビューを書いていくよ。

まず最初に一言言っておくと、このゲームはめちゃくちゃ人を選ぶ。

僕が思うに、ほとんどの人が序盤で嫌になって止めちゃうんじゃないかな。

それくらい、ある意味強烈すぎるインパクトのあるソフト。

僕自身はというと、ゲームリリース直後にプレイした際はゲーム序盤の2〜3時間あたりで離脱してしまった。

ちなみにその際の感想は、

このゲームは生理的に絶っっっ対に無理!

という結論だったんだけど、

ただ、ここ最近再度トライする機会があって、なんとかクリアまで進めることが出来た。

僕が離脱した理由、そして頑張ってクリアまで進めてみてその印象は変わったのか。

そのあたりも詳しく書いていくので、Stifledに興味のある方は是非参考にしていただきたい。

(本サイトのレビューはネタバレを極力控える方針です)

「Stifled」(スタイフルド)とは

このゲームの特徴を一言でいうなれば、

”音をソナーに見立ててダンジョンを探索していくステルスホラーゲーム”

かなり画期的なゲームシステムで世間からも注目を集め、実際にいくつかのゲーム賞も受賞している。

実際のゲーム画面は次のような一人称視点。

真っ暗闇にワイヤーフレームのみ。見た目からして異質

で、Stifledで最重要なのが「音」。

このゲームのほとんどが完全なる暗闇の中を進んでいくことになるんだけど、そんな状況下で周囲の情報を得るためには、自ら音(ソナー)を発しつつ、その反響音を頼りに進めていく必要がある。

こんな感じで。

音を発することで周囲の状況が分かるようになる(画像はplaystation.comより引用)

ちなみに「音」をどうやって鳴らすかと言うと、概ね次の3通り。

  • プレイヤー自身の発する声(プレイヤーの生の声をマイクが拾ってくれる)」
  • ゲーム内の主人公が歩く足音
  • ゲーム内で石などの小物を手にとって投げた際の反響音
    (他には、ゲーム内のオブジェを動かした際など、いろんな音に関する仕掛けがほどこされている)

1つ目の『プレイヤー自身の発する声』は、プレイしながら適当に声を出せば(言葉は何だって良い)psvrのマイクが声を拾ってくれてゲーム中のソナーとして発動される仕組み。

ちなみにこの声を出す行為自体をボタンで置き換えることも可能。

ちょっと面白いアイデアだけど、僕は声を出す意味を見いだせなかったので速攻でオプションからボタンに切り替えた。

あと、このゲームは主に2つのフェーズに分かれていて、

1つ目が上記で紹介したような、本ゲームのメイン部分である暗闇の中を探索して行く、通称『探索フェーズ』。

もう一つが、暗闇ではない通常の建物内などを探索する、通称『ストーリー進行フェーズ』の2つ。

こういった、通常の探索シーンも用意されている。

探索フェーズでゲームを進めつつ、合間合間のストーリー進行フェーズで物語が進行していくという流れ。

とまあ前情報はこのくらいかな。

それでは、本気レビュー行ってみよう!

Stifledの素晴らしく良いところ

まずは、このゲームの素晴らしい点から語っていくよ。

音をソナーに見立てて進めていく暗闇の探索は最高のスリラー体験が味わえる!

本ゲーム『Stifled』の肝の部分である”音をソナーに見立ててつつ、真っ暗闇の中を探索していく工程”は非常に緊迫感があって素晴らしいゲーム体験が出来る。

最初プレイした際は、

こ、これはすごいかも!?

暗闇内にはプレーヤーに襲いかかってくる”謎のクリーチャー”が登場するんだけど、このキモい造形の敵の存在と相まって、このゲームシステムがとてつもない緊張感を生み出すのに成功している。

暗闇の中、ソナー音を発しつつ探索を進めていくと、周囲の状況と合わせて敵の存在もあらわになるんだけど、

・音を出して周囲を探索
・ただし、音を出すと敵に気づかれる

という、相反した要素が共存しており、

音を出したいのに出せないジレンマ

と常に隣り合わせてゲームを進めていくことになる。

ここにすっごいドキドキ感が生まれていている。

画面中央のパイプの奥に隠れている赤い物体がクリーチャー。敵に気づかれると画面が真っ赤になって奇声も聞こえてくる。この臨場感はヤバい

この緊迫感を他で例えるとすると、映画『エイリアン2』に出てくる感知レーダー↓を見てたシーンが近い気がした。

ピコーン、ピコーン、って警報機とともにレーダー上で何らかの物体が迫って来ているシーン

視界には見えない、だけど間違いなく敵は近くに迫ってきているっぽい、、、や、やばい〜!!!!

的な緊迫感を味わえる。(実際のゲームは上記とはまたちょっと違うんだけど、僕が感じた緊迫感の系統が似てるってことで)

この感覚は是非一度体験してもらいたい、んだけどこのゲームにはマイナスすぎるポイントがありすぎて、そう気軽におすすめ出来ないのがたまにきず(詳しくは後述)。

『陰鬱すぎる世界観の作り込み』は半端なく凄い

このゲームは俗に言う鬱ゲー。

というか、陰鬱すぎ!

ただ、その世界観の作り込みはある意味ぶっ飛んでいて凄かった。

中途半端な感じで鬱っぽさをなんとなく演出している感じじゃなくて、

徹底的にプレイヤーを鬱の世界に引きずりこもうという開発スタッフの狂気具合が伝わってくるというか。

僕は大のミステリー&サスペンス好きなので軽い鬱っぽい世界観とかならほぼ抵抗がないんだけど、このゲームは全然駄目だった。
#ほめてるのかけなしてるのかよく分からん

良い意味で、『この開発スタッフ絶対に狂ってる!』と思えるほど、圧巻の作り込みだと思う。

ゲーム序盤のミステリアスな雰囲気とかは僕的にストライクで凄い良い感じ。

ところどころのサスペンスチックな演出も上手い。

ただ、徐々に世界観がおかしくなり始める。
#いや、最初からおかしいかも

相当刺激が強いので、興味が湧く方は覚悟して挑んでほしい。

Stifledのダメすぎるところ

ここからは、駄目な点を書いていくよ。

良いところで紹介したものが全て次の一点で打ち消されることになるので心して読んでほしい。

グロすぎる

グロい、グロすぎる!!

誰になんと言われようと、このゲームのクリーチャーは(悪い意味で)グロすぎてNG。

おそらく殆どの日本人が生理的に受け入れられないのでは無いかとさえ思う。
#逆にそうであってほしいとさえ思う

特に、一番最初に遭遇するクリーチャーはもう絶対にナシ。

僕がこのゲームをプレイして真っ先に頭に思いついたのが次の過去ニュース。

宮崎駿監督、ドワンゴの川上量生に激怒…… AIで作ったCG映像に物議

11月13日に放送されたNHKスペシャル「終わらない人 宮崎駿」で、「スタジオジブリ」の宮崎駿監督が、ドワンゴの川上量生会長に一喝を入れるシーンが放送された。
これは「スタジオ・ジブリ」チームがCGで短編映画の制作している際、訪れた川上氏がドワンゴの最新技術を作品に生かせないかと、自ら説明に訪れた場面で起きた出来事であった。

〜中略〜

宮崎駿監督がドワンゴの川上会長に激怒した理由は、何だったのか。それは、川上氏の持ち込んだ人口知能CGの動きが”障害者を侮辱している”ように宮崎監督が解釈したためであった。宮崎監督には身体障害者の友人がいて、そのことを思い出して激高したようだ。

CG自体、頭のないゾンビのような質感のキャラクターがモニターの中で動き回っていて、不思議な光景でもあった。

excite.ニュースより引用

これはかなり以前の話題で、宮崎駿監督がドワンゴの川上氏が持ち込んだCG作品に対して大激怒したっていうエピソードなんだけど、

これって要は、作り手が自身のアイデアや技術、作品に自己満しちゃっていて、客観的にその作品を見ることが出来ていないという典型例で、

僕がこのゲームに登場するクリーチャーを見て感じたのは、まさにそんな感覚だったように思う。

特に、1ステージ目に出てくる敵(クリーチャー)は
・見た目は間違いなく人間の子供を模して作られたもの
・その見た目と動きはとてつもなくいびつで気持ち悪く、かつグロさを備えている。
・ゲーム内で、直接的にこの敵に関しての解説(この敵は何者なのか)などは語られないんだけど、
 ゲームを進める中で、この敵は自身(ゲームの主人公)と密接な関係のある子どもを連想させる作りになっている。

上記の物体(クリーチャー)が動いている様、そして奇声を発しながらプレイヤーに襲いかかってくる様を見ると、吐き気をもよおしてくるレベル。

もう狂ってるとしか言いようがない。

何事にも一線ってあると思うんだけど、このゲームは一線を超えちゃっている気がする。

こんな狂った世界観じゃなければ素晴らしいゲームになったものを。

VRゲームにおいて、『グロ系+死にゲー』は罪である

Stifledのゲームシステムは、トライアンドエラーをひたすら繰り返して活路を見出していくゲームシステムになっている。

つまり死にゲーってこと。

先程お伝えした、奇声を発しながら襲いかかってくる『いびつでグロすぎる敵』に、何度も何度も何度も襲われる描写を見せつけられるということになる。

そして、非VRのゲームならまだありなのかもしれないけど、このグロさをVRゲームで実現させちゃうと……完全にアウトとしか……。

VRゲームは『ゲームの世界を擬似的に体験してしまうデバイス』という傾向があるので、このあたりはきちんと企業として一線を管理しておかないと、エンタメとして成立しなくなる恐れもあると思う。

このゲームをプレイしていてほんとに気分が悪くなる人って結構多いと思うし(というか僕がそうでした)。

VRは映画館や液晶テレビで見る一人称映像とはわけが違うからさ。

この作品は、もしかしたらVR黎明期だからこそ出せた作品なのかもしれないね(いまだったら倫理的にNGが入るかも。ほんとにそのくらいのレベル)

画質が汚すぎる

ここからは、すこし熱量を下げつつ駄目なところをシンプルに。

まず、このゲームとにかく画質が汚い。

僕はPS4 PROの環境でプレイしているので、PROには対応していないんだろうけど、にしても汚すぎるというか。

見づらいかもしれないけど、曲線が完全にドット状で見える

輪郭のジャギーがとてつもなく目立つし、ここまで汚いと目疲れが半端ない。

ただ、このゲームは2018年に発売されたものなので、この部分を致命的に言うつもりは毛頭ない。

今からプレイするユーザーは「このゲームは画質が汚い」という認識はもってプレイいただければ良いかと。

ロードが長い

何度この画面を見せられたことか

今の性能をもってすれば仕方がないことなんだろうけど、ロードの長さはやはり気になってしまった。

重要なのはロードに遭遇する頻度。死にゲーで再トライする度にこのロードは流石に厳しいと感じる。

比較的酔いやすい

このゲームの酔い度は5段階中『4』(比較的酔いやすい)

画質が悪いせいか、ゲームシステムのせいか、この陰鬱な世界観のせいか、原因はさまざまだと思うけど、比較的酔いやすい傾向にあると思う。

プレイする際は気をつけて頂きたい。

一点気になったのが、しゃがむ際の動作。

一般的なVRゲームにおいて『立ち⇢しゃがみ』のような素早い動作時は画面が「パッパッ」と切り替わる仕様が多いんだけど、

このゲームは非VRの一般的なFPSと同様、普通に『立ち⇢しゃがみ』の一連の動作を一人称視点で見せてしまっている。

(オプションでもこの点は変更できなかったので)開発者の意図なんだと思うけど、
何度も立ち⇢しゃがみを繰り返していると、速攻で酔ってしまう危険性があるので、プレイされる場合はこの点は注意してほしい。

※ちなみに方向転換は、ちゃんとカクカク設定が出来るのでご安心を。

Stifledの評価で迷ったところ

重厚で映画的なストーリーはけっして悪くないが……。

悪いところでさんざん言わせていただいた、「陰鬱すぎて絶対に無理」「グロすぎてアウト」というフレーズ。

ただ、Stifledのストーリー全体を通してみた場合、しっかりとしたテーマがちゃんと用意されていて、そして、それに沿って各ステージがしっかりしたコンセプトに沿って構築されているのが分かる部分もある。

一本の作品としてみた場合、非常に重厚なストーリーを体験できる、という点は間違いない。

VRのゲームって比較的ストーリー面が軽視されがちな作品が多い中、このゲームは、とっても高いレベルでゲームとストーリーが融合している点は素晴らしいと言える。

ただいかんせん……。

ぐぬぬぬ、なんとも悩ましい作品、である。

Stifledの総評

良い面はたしかにある。

体験、という意味でも、やっておいて損では無いのかもしれない。

ただ、やはり僕はこのゲームを友人や大切な人におすすめはできない。というかやってほしくない。

僕自身も、(一度目の挑戦では)ゲーム序盤で早々に離脱した身である。

これが全てだと思う。

最後に一言、いや二言だけ言わせてほしい。

「こんな狂った世界観じゃない設定で、この素晴らしいゲームシステムを体験したかった」

そして、

「みなさんこのゲームは不用意にやらないほうが良い。ただ!陰鬱系のホラーが大好きという方にとっては、このゲームは神と化す可能性も……」

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